尖閣の歴史が廣まらぬ原因の一つは、歴史以外との分野爭ひであらう。工業製品と似た側面がある。新式の蚊帳をアフリカで普及させようとしたら、邪魔が這入ったといふ話。曰く、
http://www.mag2.com/p/news/257360/2
 しかし、思わぬ所から横やりが入った。マラリア対策に取り組んでいるアメリカの国際開発庁から、1990年にクレームが届いたのである。
    自分たちがせっかく殺虫剤を「含浸するタイプの蚊帳」を広め、ユーザーである住民自身での「再処理」習慣を根付かせるための啓蒙活動を行っている横で、「再処理をしなくてよい」という製品を展開するとは、どういうことなのか。マラリア対策プログラムに対して、「マイナスの影響を与える製品」の展開はやめてほしい。

マラリア蚊帳住友

 似たやうな話は、自動運轉車普及にタクシー業界が抵抗するとか、電氣自動車普及に既存の自動車生産者が反對するとか、耳に這入る。
 尖閣も、これまで日本では近代以前の歴史研究者がほとんど扱はず、現代の國際政治、國際法の研究者が主役であった。しかし國際政治は、なるやうにしかならないし、國際法で日本の勝利は既に確定してゐるので、彼らの役割は既に終ってゐる。今、尖閣の主役は悠久の歴史である。三浦按針であり、德川家康であり、豐臣秀吉であり、グロチウスである。朱印船東印度會社聯合が、尖閣の遙か西方でチャイナと對峙する。それが尖閣の話題の中心だ。
 しかし、歴史の話をさせまいと阻止する人が多い。國際法で解決するのだといふ。そもそも國際法では既に解決してゐるのに、今さら何の仕事があるのか。單に自分らの分野が目立ちたいだけではないか。
 彼らは何も中身を理解しようとしない。歴史が無ければ世界輿論は支持しない。支持が無ければ政府は動けない。そして尖閣は喪失する。さうならぬために國際政治、國際法の論客が今すべきことは、脇役に徹して歴史戰を助けることだ。
 尖閣の歴史研究でここ數年に加はった新史實を、石平氏が分かり易く解説したのが、『眞實の尖閣史』である。他の書とは全く異なる内容だ。尖閣を守るために刊行された正義の書。歴史阻止派の論客も、これを避けては通れなくなった。
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http://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594077730
『中国が反論できない 真実の尖閣史』  扶桑社、平成二十九年八月刊。
石平 (著), いしゐのぞむ (史料監修)    ¥ 1,512(税込)

sekihei石平表紙6
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