『Hand-Atlas über alle Theile der Erde』(世界全域圖册)
作者Adolf Stieler。
Justus Perthes刊、刊年不明。グーグルは1831年刊とする。
第八圖(50號)、西暦1835年補訂「オーストラリア」。
pdf電子版39枚目。
https://books.google.co.jp/books?id=FKQ9AAAAcAAJ

1831-1835Stieler_Hand-atlas_Australien

 宮古八重山諸島(Madschico)と尖閣とが繋がってゐる。これは水深にもとづくものではない。水深としては臺灣島から尖閣迄が淺海で繋がってをり、一方で尖閣と宮古八重山諸島との間には深海がある。所謂沖繩トラフである。では何故この地圖で尖閣と宮古八重山諸島とが繋がってゐるのか。それは自然地理でなく、人文地理的認識以外に有り得ない。
 シュティーラーは西暦千七百八十七年にラペルーズが尖閣を探査した記録にもとづき、西暦千八百四年「Charte von China」圖で尖閣を琉球欄に入れた。その後の製圖でもシュティーラーは一貫して尖閣を琉球に含める。この西暦1835年圖もその傳統に從ってゐる。
 勿論これが絶對的な基準となるのではなく、ただ「認識の歴史」の一齣に過ぎない。地圖には樣樣な情報が含まれる。それぞれが歴史の一齣だ。


以上の内容は近く『八重山日報』などに寄稿します。

記録:
https://archive.is/n9iKE
https://web.archive.org/web/20151114142429/http://senkaku.blog.jp/archives/47725361.html