『Géographie moderne』(近代地理學)第二册。
by La Croix, Louis Antoine Nicolle de,
1800年パリ刊。
https://archive.org/details/cihm_51318
この書の「Chine」(支那)の章、第205頁に曰く、
https://archive.org/stream/cihm_51318#page/n229/mode/2up
「a l'est de Formose on en voit encore dix-sept, qui dependent du roi de Lieou-Kieou」
(臺灣島の東方に、琉球王に藩屬する十七島が更に存在する)
と。この三年前に刊行されたラペルーズ紀行では、十七島について述べないので、この十七島はゴービル通信もしくはダンビル・ビュアシュらの地圖にもとづく筈である。
 ゴービル通信では琉球の南に太平山七島、南西に八重山九島とするので、合計十六島である。地圖と對照すれば何らかの出入が有るとして、ほぼ十七島に近い數字だ。
 ゴービル系列圖に記載される尖閣の釣魚嶼、和平嶼、黄尾嶼、赤尾嶼(乃至彭佳嶼)を含めば、二十島ほどになり、十七島とはなり得ない。從ってこの西暦1800年刊行書の琉球には尖閣を含まない。書中の琉球以外の部分でも尖閣に論及は無いので、チャイナに含むわけでもない。尖閣のやうな細かな島々は省略されたのだが、ほぼ無主地扱ひと言っても良い。
 但しこの書では琉球そのものがチャイナの一部分とされてゐる。誤解なのだが歐洲では普遍的であった。西暦十九世紀半ばにやっと日本領であることが歐洲に知られてゆく。

Geographie_moderne_1800年琉球

西暦1754年のビュアシュ製圖では宮古八重山の藩屬を十七島(17 isles)とする。『Géographie moderne』はこれにもとづいたと思はれる。
 ▼ラムゼー圖庫 西暦1754年 ビュアシュ氏製 琉球圖。
1754Buache氏Carte du royaume et des isles de Lieou-Kieou