元外務省の田中均氏が
「東南アジア諸国との間は、二千年続いた中国の圧倒的な優位の延長」
と述べてゐる。大間違ひだ。

http://diamond.jp/articles/-/73361?page=2
 中国は米国と安定的関係を目指しつつ、東シナ海や南シナ海において一方的で攻撃的な行動をとってきた。まず尖閣諸島についての攻撃的な行動は日本の強い反発、および米国による「尖閣は日米安保条約の対象である」との発言を招き、焦点を南シナ海に移した。
 同国は、ベトナムなど東南アジア諸国との間は、二千年続いた中国の圧倒的な優位の延長であり、大国と小国との関係と見る。近年は、ベトナムやフィリピンの排他的経済水域内に入り込んでの石油掘削や広範な範囲の岩礁の埋め立て、恒久的建設物の設置など、一方的な行動をすさまじいスピードでとってきた。
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上が田中氏の文章の一部分だが、二千年
云々はチャイナの考へとして引いてゐるに
過ぎないやうにも見えるし、それを史實と
して田中氏が受け容れてゐるやうにも見える。
チャイナの考へを引述する時に、このやうな
半受容的姿勢を見せる論者が多いが、誤解
を招く。はっきりと、
「二千年続いた中国の圧倒的な優位だと虚構と誇張で位置づけ」
と否定する書き方をすべきだ。

史實を振り返れば、壓倒的優位は東南ア
ジア最北端の越南北部に對してだけに過
ぎず、それを他の東南アジア諸國との對比
にまであてはめることはできない。
例へば西暦六世紀、東南アジアの扶南國から
僧伽婆羅(そうがばら、サンガバーラ)、曼陀羅仙
などの高僧がチャイナ南朝に來て、かの菩
薩皇帝として名高い梁の武帝の師となった。
七世紀からは室利佛逝國が最盛期を迎へた。
東南アジアはチャイナの先生であった。
唐朝の後半にはイスラム商人が最先端の
航海術を以て東南アジアを經てチャイナ東南
に來航居留し、先進文明をもたらした。
イスラム文明の波及はその後元朝まで續く。

最も分かり易いのは、東南アジアの中で
漢文圏は越南だけであり、他國は梵文圏だった。
二千年間チャイナが壓倒的優位だったといふ
のは全くの嘘である。インド文明こそ壓倒的優位だった。

田中氏の文章の後半では、今のチャイナをこちら側
に引き込め、アジア投資銀行に日本は加入せよ、
と、いつもの論調である。全く贊同できない。

室利佛逝