ヤフーで「尖閣」を檢索したら、次の記事が出た。曰く、
日中首脳会談実現がほぼ確定、
 日本側が尖閣問題で譲歩か―米メディア
 
 2014年11月2日、米グローバル・リスク・インサイトは、北京で10、11日に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の期間中、安倍首相と習近平(シー・ジンピン)国家主席共に就任後初となる日中首脳会談が実現することがほぼ確定したと伝えた。日中首脳会談実現のためには、日本側は尖閣諸島問題に関し譲歩し、立場上重大な調整が必要となるとしている。
 2012年12月、安倍首相の就任後、中国側は「尖閣諸島には領土問題が存在すると日本側が認めること」が首脳会談の前提条件という姿勢を一貫している。これに対し、安倍首相は、両国間に領土問題が存在することを認める以外に、問題の棚上げを提案するとみられる。しかし、正式声明や関連文書上で協議の詳細内容に関しては触れない。」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141104-00000035-rcdc-cn
と。レコードチャイナから轉載されてゐる。もとのページは
http://www.recordchina.co.jp/a96785.html
このリンクである。レコードチャイナをわざわざ見る人は少ないだらうが、
常にヤフーに轉載されるため、私も含めかなりの數の人が見ることとなる。
ここに「米メディア」として出てゐる「グローバル・リスク・インサイト」は
アメリカのほとんど無名の媒體である。リンク:
http://globalriskinsights.com/
この中の一篇「Japan de-escalates the Senkaku-Diaoyu dispute」
(日本は尖閣釣魚島論爭を冷却化させる)
http://globalriskinsights.com/2014/10/japan-de-escalates-the-senkaku-diaoyu-dispute/
こそが、レコードチャイナの元記事である。
著者はミカラ・ソレンソン(Mikala Sorenson)、同じくほぼ無名である。
無名が惡いのではない。私自身も無名だ。
無名ならば政治力は無く、ただ學術的新知見が有る場合のみ
存在意義を持ち得る。しかしソレンソン女史の文章に新知見は全く無い。
レコードチャイナが「日本の讓歩が決定的」だとするのは、
ソレンソン文中の以下の部分にもとづく。曰く、
「The Japanese PM has conceded to a significant change of attitude in the dispute about the Senkaku/Diaoyu Islands.」
「The proposal to Xi Jinping from Shinzo Abe, of which the admission that the islands are indeed disputed is one part, contains further points. Japan suggests that it, together with China, settle the issue bilaterally over time.」
(日本の首相は尖閣釣魚列島論爭に於ける態度を大きく變更することを承諾した。……安倍晉三から習近平への提案で、島々が確かに係爭中だと承認するといふのは一部分に過ぎず、更に若干點が含まれる。日本は問題をチャイナと共に雙方向で時間をかけて解決する意慾を示してゐる。)
と。これはまさしく十月十六日の毎日新聞第一面の報道を引用してゐるに過ぎない。
http://senkaku.blog.jp/archives/14985414.html
無名のソレンソン女史の實に平々凡々たる文章である。しかし引用元を示さないので、レコードチャイナに換骨奪胎されると、宛かも新情報をアメリカの媒體が掌握してゐるかのやうに見えてしまふ。もちろんこれはレコードチャイナの仕事ではなく、チャイナ國内にはレコードチャイナの元となった記事が有る。曰く、
 「安倍晉三和習近平在亞太經合組織北京峰會期間,實現兩人任內首次會晤,似乎已成定局。安倍晉三得以會晤習近平,必須付出代價——在釣魚台列島/尖閣群島主權爭執中作出讓歩,對自己的立場作出重大調整。日本起初拒絶承認釣魚台列島/尖閣群島存在任何主權爭執,但現在已變為實際上承認「中國也聲稱擁有主權」。之前由於日本拒不承認存在領土爭議,中國拒絶和日本舉行會談,這個問題也成為兩國首腦會晤的障礙。
 自從2012年12月日本政府更替,安倍晉三就任首相后,中國一直繼續敦促日本承認釣魚台列島/尖閣群島存在領土爭議,並將此作為中日兩國舉行高峰會議的先決條件。安倍晉三向習近平的提議,除了承認兩國在東中國海存在領土爭議,還建議雙方將此問題留待以後解決,但在正式公布的聲明或其他文件中,不對此協議作詳細説明。」
http://big5.backchina.com/news/2014/11/02/327656.html
http://news.creaders.net/world/2014/11/01/1449995.html
http://news.cnaustralia.com/portal.php?mod=view&aid=47273
と。このチャイナ譯文の題目は「中日各有經濟問題 釣島爭議勢必降温」となってをり、ほぼソレンソン女史の原題そのままだが、文中の「似乎已成定局」(ほぼ決定的)は誇張である。そしてレコードチャイナは題目も入れ替へて、
「日中首脳会談実現がほぼ確定、日本側が尖閣問題で譲歩か」
とした。十月十六日の毎日新聞が、誇張に誇張を重ねてヤフーに戻って來たわけである。

しかし問題は、大もとの毎日新聞の報道の
眞僞に在るのではない。
萬一APECで安倍首相が
「尖閣を話し合ふ」と表明したら、
全ては終るのである。
餘す所一週間、危機なほ去らず。
愛國者は疑惑追究の聲を舉げよ。
http://senkaku.blog.jp/archives/15857481.html
http://senkaku.blog.jp/archives/15371461.html
http://senkaku.blog.jp/archives/15358153.html
http://senkaku.blog.jp/archives/15253741.html

ソレンソン

ついでながら。新刊拙著『尖閣反駁マニュアル百題』
http://www.amazon.co.jp/dp/4916110986

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