産經新聞の佐々木類氏の六月の論説を今讀んだ。
ミグ25の危機でも政局次第で防衞出動は遲れる。
尖閣でもその可能性が高い。
チャイナ軍が上陸したら、尖閣に於ける施政權を失った状態となり、
奪還するのは違憲だとの議論が高まるだらう。
その時に安倍政權は迅速に防衞出動できるか。
かなりの壓力を受けて、判斷が鈍るだらう。
だからこそ、奪還方式の防衞は駄目なのだ。
先に自衞隊が常駐しないと尖閣喪失は決定的だ。

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ミグ25事件で現場目線を学べ 佐々木類

 国民の生命と財産を守る安全保障問題を政治の駆け引きに利用するのは、言語道断である。
 まして、目の前の危機に直面してなお、責任回避を優先する政治指導者がいるなら、国民こそいい迷惑である。それどころか治安維持や警戒監視にあたる警官や海上保安官、自衛官にとって、自らの命に直結する一大事である。

 安保法制をめぐる自民、公明両党の協議がヤマ場を迎えている。実を取ろうと譲歩を重ねる自民党とブレーキを踏む公明党。責任を問われるのは軍事音痴の国会議員だけでない。国際情勢を理解できずに現実の脅威から目を背け、反対のための反対に精を出すマスメディアや学者も同罪だ。強盗もお茶でもてなせば、何とかなるとでも思っているのだろうか。

 実際、そんな目の前の危機にわが国が戦後初めて直面したことがあった。昭和51年9月6日のことだ。ミグ25事件である。旧ソ連空軍パイロット、ベレンコ中尉が乗った最新鋭戦闘機ミグ25が自衛隊の警戒監視網をかいくぐって函館空港に着陸した。

 実はこのとき、陸上自衛隊は極秘裏に行動し、事実上の「防衛出動」に出ていたのである。スイス駐在米大使館付武官による、信頼度が最も高い「A・1情報」がもたらされたためだ。最先端の軍事技術流出を恐れたソ連軍特殊部隊がミグ25を破壊するため、ゲリラ攻撃に出るというものだった。
 現場指揮官による超法規的な独断専行だ。特殊部隊の潜入、戦闘機によるミサイル攻撃…。函館に本拠を置く陸自第11師団第28連隊の緊張は頂点に達した。

 奇襲侵略を受けても、首相の防衛出動が出るまで動けない。福田赳夫、大平正芳両元首相ら自民党非主流派による「三木おろし」の渦中にあった三木武夫首相は防衛出動発令をためらった。国民の安全より政局を優先したのだ。

 現場で事件に遭遇した大小田八尋(おおこだ・やひろ)元陸自1佐(83)は「出動命令がないからといって犬死にするわけにはいかなかった」と振り返る。第28連隊の高橋永二連隊長は「われわれが戦わずしてだれが戦うのだ」と部下に訓示したという。

 だが、こうした事実は以後、教訓として生かされなかった。闇に葬られたのだから当然だ。事態の発覚による政権への影響を恐れた三木政権が、全記録の焼却処分を命じたのだ。このとき特定秘密保護法があればと思う。政権に都合の悪い資料を処分する恣意(しい)的な焼却命令は出せなかったはずだ。

 2年後の昭和53年7月、栗栖弘臣統合幕僚会議議長は会見で、ミグ25事件を念頭に、「第一線部隊が超法規的行動をとることもあり得る」と述べ、金丸信防衛庁長官に更迭された。

 この後、36年もの間、切れ目だらけの法の未整備を放置してきた政治の罪は重い。

 事件の真相を追う脚本家の児島秀樹氏(58)は映画化して世に問えないかと自衛隊関係者への取材を重ねている。生死をかけた陸自第28連隊の記録を消し去ってはならないとの信念からだ。

 大小田氏は電話口で「現場の目線で、現場の自衛官が動きやすい法整備を望む」と結んだ。(論説委員)

http://www.sankei.com/politics/news/140618/plt1406180034-n1.html
http://www.sankei.com/politics/news/140618/plt1406180034-n2.html
ミグ25