尖閣史の大間違ひ。ファックスと電子メール送りました。
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毎日新聞特輯ワイド係御中 ならびに谷野作太郎樣
石井望と申します。長崎純心大學で釣魚列島漢文史料を研究してをります。本日、貴紙の訪問録で

「せいぜい120--130年前の話です。それまで、あの海域は琉球、台湾、中国福建省などが共有する「生活圏」だったのです。沖縄の有識者の方々の間ではそのような考え方が強い。」
http://mainichi.jp/feature/news/20130827dde012010075000c3.html

http://stomach122.jugem.jp/?eid=1584

との谷野氏の言葉を目にしました。學術的に完全に誤りです。
谷野毎日

機動船出現以前に、帆船で尖閣海域を生活圏とした記録は一切存在しません。明治の古賀氏以前に漁業などの記録も一切有りません。琉球國からの朝貢船が「貿易圏」とした記録は數百度も有りますが、貿易圏だけで「生活圏」とするのは、完全に誤った擴大解釋です。

チャイナ側からは琉球國王の招聘により、琉球國公務員の水先案内で尖閣海域を數十度だけ航行し、記録しましたから、チャイナ人は客の立場になります。主は沖繩人です。

記録にもとづかぬ推測としても、季節風による航行ですから、尖閣海域に到達したら半年待たねば戻れません。だから朝貢も一年に一往復です。帆船時代に生活圏とすることは不可能と推測できます。

今の沖繩の有識者も、尖閣史を檢證せずに、その場限りのことを言ってゐるだけです。近代の沖繩研究者などでなく、しっかり漢文を讀む古典尖閣史研究者にご確認の上、誤りを訂正・撤囘して頂きたい。もしご必要なら私自身もご相談に乘ります。

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以上が送付した文です。谷野氏は元中華人民共和國駐在の大使ださうです。毎日新聞の情報は、正かなづかひの會の同志上村知己先生より知らせて頂きました。以下に毎日新聞の見出しと谷野氏の上下文の一部分を引用します。

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 ◇尖閣問題に乗っ取られるな 歴史的には日台中の「共通の生活圏」だった
 尖閣の問題については、日本は筋を通して対応していくことが重要です。しかし、あの島の問題に大切な日中、中日関係が乗っ取られるようなことがあってはならない。両国の政治リーダーたちがその思いを共有して知恵を出し、勇気を持って今のトンネルを抜け出してもらいたい。…

 尖閣について、あの島々は「古来、日本の領土」「古来、中国の領土」という硬い言い方は、私自身ちょっとひっかかります。中国は島の存在を認知していただけ。一方、日本は明治になって間もなく「廃琉(はいりゅう)置県」(いわゆる琉球処分)があり、1895(明治28)年に正式な手続きを経てこれを日本の領土としたわけです。しかし、それもせいぜい120〜130年前の話です。
それまで、あの海域は琉球、台湾、中国福建省などが共有する「生活圏」だったのです。沖縄の有識者の方々の間ではそのような考え方が強い。日本の領有権の問題は譲ることはできませんが、その上で日本、台湾、中国の間で「共通の生活圏」というやわらかい考え方を共有し、そこから何か解決の糸口を見つけることはできないものか、と思っています。

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http://mainichi.jp/feature/news/20130827dde012010075000c.html

http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:T3sbl38cPboJ:mainichi.jp/shimen/news/20130827dde012010075000c.html

https://archive.today/921O9

(毎日新聞、平成二十五年08月27日東京夕刊・特輯ワイド)

石垣市の島が日本チャイナを乘っ取るとは、石垣市民の名譽を損なふ大失言です。チャイナが「大切」で石垣は大切でないとも讀み取られます。石垣市民は怒らないといけません。

 

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追記。「古來日本の領土」とは、民間人で言ってゐる人は有りますが、日本政府は言ってません。日本政府の公式見解は、明治二十八年(西暦1895)に編入した日本固有の領土です。一方のチャイナ公式見解では古來チャイナ領土だとしてゐます。谷野氏が古來と固有とを混同するのは故意か否か。いづれにしろこれも大きな誤謬です。

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追記第二。

インターネット「生活圏 尖閣」檢索。

http://www.koubunken.co.jp/0500/0483.html

http://ww5.tiki.ne.jp/~people-hs/data/5743-4.html

http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=70

http://tokyopastpresent.wordpress.com/2012/12/05/

http://www.hilanokumiko.jp/web/03_taiwan/index_003.html

http://www.hibana.org/h351_1.html

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-211016-storytopic-11.html