この八月四日、山本一太領土大臣が尖閣を論じる公式ビデオを公開した。リンク:
https://www.youtube.com/watch?v=rBJw4n96UhA#t=6m35s
これは尖閣弘報のために逆効果となるビデオである。6分35秒から尖閣領有の根據を述べてゐる。
1、チャイナは西暦千九百七十年代から初めて領有を主張し始め、
  それまで七十餘年間、チャイナ政府は領有を主張しなかった。
2、下關條約及びカイロ宣言は尖閣を對象とせず。
3、カイロ宣言では領土を變更できない。
4、日本の領土を確定したのはサンフランシスコ平和條約である。

 極めてまづい。第一に七十餘年間主張しなかったならば、七十年を超える以前にチャイナは主張してゐたことになる。これが國際的誤解の原因になってゐる。現在チャイナはまさしくその通りに主張してゐるのだ。しかし史實は、七十年を超える以前にもチャイナは領有せず、領有を主張もしなかった。チャイナ國境線は福建沿岸及び臺灣島東北端の岬までだと史料に明記されてゐる。西暦千四百六十一年以來のそれら歴代史料については新刊拙著『尖閣反駁マニュアル百題』 
http://www.amazon.co.jp/dp/4916110986
を精閲して欲しい。これら多數の史實を日本政府はなぜ避けるのか。

 第二に、下關條約が尖閣を對象とするか否か、議論に答へてゐない。チャイナは尖閣が臺灣附屬島嶼だったから、條約の對象だと主張してゐる。しかし地理的に附屬だったか否かを問はず、そもそも清國は尖閣を統治してゐないので、統治外の地は條約の對象とならない。それが正しい答へである。これを正しく答へないと、附屬島嶼の範圍如何といふ水掛け論に絡め取られる。

 第三に、そもそもカイロ宣言の位置づけの問題ではない。何故なら、カイロ宣言如何を問はず、それまで五百年間、チャイナは尖閣を領土外と記録してゐた。カイロ宣言で日本が島嶼を放棄させられたか否かを問はず、カイロ宣言を以てしても尖閣はチャイナ領土とならない。かりにカイロ宣言を日本が受け容れたとしても、尖閣はチャイナ領有にかすりもしない。

 要するに明治二十八年(西暦千八百九十五年)より以前にチャイナが尖閣に於いてゼロであったといふ史實、これこそが最大の根據なのに、それを一切使はない日本政府は、故意に尖閣を紛爭地としたいのではあるまいか。
一太尖閣