- 尖閣480年史 - いしゐのぞむブログ 480 years history of Senkakus

senkaku480 石井望。長崎純心大學准教授。電子メールishiwi@n-junshin.ac.jp (全角@を半角にしてご使用下さい)。 電話090-5084-7291。 日本安全保障戰略研究所研究員。


Adolf Stieler's Hand-Atlas. Vollständige ausgabe in 84 karten, Gotha, 1871.
英公文書館請求記號:   CO 700/WORLD7
上記は既に撮影濟。インターネット未公開。後日、機會があれば公表しよう。勿論、尖閣の西側に國境線がある。今日は、他の版の國境線などを米議會圖書館などから轉載しておかう。以下の通り。


1867  Stieler "Hand-atlas"  慶應三年(西暦1867)。いしゐのぞむ個人藏。尖閣の西側から臺灣東南側まで國境線。
Stieler切縮Hand-atlas_1867_石井平成29購入



 1869年  Petermann製圖。ペーターマンはStieler歿後にStieler圖の製作者であった。この圖はシュティーラー圖册から抽出されたものでなく、右上にTafel 17 (table 17)とある。これを17番目に含む圖册を今後搜さねばなるまい。なほ圖の右下の標題がEdkinsエドキンス艾約瑟による方言云々と書誌を記述してゐるが、それは有り得ない。そもそもこの圖中の地名は舊官話字音であって、方言ではない。全般にエドキンスの新たな字音が反映されてゐるわけでもない。


1870年。大阪大學藏のペーターマン「參考シュティーラー地圖册」(Stieler's Hand-Atlas)内「支那高麗日本」圖は、明治三年(西暦1870年)製。


 1872   米議會圖書館藏。Stieler's hand-Atlas 
https://www.loc.gov/item/2006629397/
http://hdl.loc.gov/loc.gmd/g7820.ct005237

 1873     米議會圖書館藏。Stieler's hand-Atlas 
https://www.loc.gov/item/2006627863/
  
以上のやうに歴年の國境線が公開されてゐる中で、インターネット未公開の1871年版を撮影できたのは成果であった。








「移動するウイルス、インフルエンザは一体“いつ”“どのように”して流行したのだろうか?」
岩田 健太郎 /構成:『ベストタイムズ』編集部
2020年02月21日
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/11288
曰く、
「数千年の歴史を持つ中国の医学書『傷寒論(しょうかんろん)』にもインフルエンザらしき症状の記載がありますから(太陽病)、もしかしたらインフルエンザはもっともっと昔から存在していたのかもしれません。」

はて。流行性感冒が漢方の太陽病だとは初耳だ。
感冒といふのはいかにも漢方らしい言葉なので、
私は以前からどこの古典的漢籍に出てゐるのかと
搜してゐるのだが、どうやら見つからない。
邪に感じて(感染して、震撼して)、
毒が冒起するくらゐの言葉から、
略して感冒であらう。
貝原益軒の養生訓には既に感冒と出てゐる。
『傷寒論』は風寒に感じて起こる病の
代表的論著だ。傷風とも呼ぶ。
色々に症状はあるにしても、その中の太陽病が
流感だとは何故推測できるのだらうか。
ウイルスは近代に發見されたので、
それ以前には中々區別できるものではない。
似たやうな病名が色々あるので、
その中で特に太陽病だといふのは解せない。
丁度ウイルスの或る特徴だけで人造ウイ
ルスと特定できないのと似てゐる。
また釣魚嶼・釣魚臺の史料の大半は臺灣の
別の離島であって、尖閣ではない。
よく見極めれば分かる。

また『傷寒論』は數千年の歴史を持つのでなく、
後漢三國の書である。傷寒論に至る漢方の歴史を
言ってゐるのか、乃至チャイナの歴史が
數千年といふのか、とにかく誤解され易い語句だ。
なほチャイナの歴史は3500年。
數千年と呼ぶには短めである。
埃及、印度、メソポタミアに較べて後輩の文化だ。
岩田といふ人は最近デマ映像で話題になったし、
こんな誇大説を見るとかなり浮ついた人物だらう。
岩田健太郎インフルエンザ


入國拒否が合法であることは既に書いたが、
http://senkaku.blog.jp/2020021482201661.html
何故か世間では超法規的措置の議論が多いので、もう一度書いておかう。
 湖北省の者、浙江省の者、チャイナ國籍の者、チャイナ逗留二週間以内の者、などを入國拒否するのは合法です。地域を拒否するのでなく、その屬性の「者」を拒否します。
 そもそも國外に對しては國内法でなく國際法が適用されますから、主權を以て理由を説明せず隨時拒否してよいのが國際慣例だり、且つ合法です。
 韓國が日本の議員に入國拒否したのも合法です(但し竹島占據が違法ですが)。我が國は尖閣主張者を拒否するも可。拒否できないと困るでせう。トランプさんが關税自主權や入國拒否を多用してますが、左翼ハフポストすらも下の如く言ってます。 
  曰く、「一般的な原則論としては、確かに主権国家(各国政府)にはどの外国人の入国を許可して誰を拒否するかを決める専権的権能があり、逆に外国人には「他国に入国する権利」は認められていません。」
 ハフポストはこの原則の例外として難民などを舉げてゐますが、感染症は難民ではありません。

トランプ大統領令


去年(令和元年)九月十八日、武漢空港でコロナウイルス漏泄に備へる演習。
 十月二十一日、生物安全法の草案が全國人民代表大會に提出された。その正規報導に曰く、
「針對我國法律對前一時期發生的生物技術謬用等行為和事件缺乏相應處罰規定的問題,草案明確了相應的責任及處罰,填補了法律空白。」
(针对我国法律对前一时期发生的生物技术谬用等行为和事件,缺乏相应处罚规定的问题,草案明确了相应的责任及处罚,填补了法律空白。)
 前の時期に生物の謬用事件があったため立法すると書いてある。どんな誤用だらうか。
 この草案が、令和二年二月十四日に習近平の中央會議で上程された。そこにも同じく誤用について書かれてゐる。
https://www.yicai.com/news/100506040.html
 正規報導によれば高度に重視しており、立法を加速するとのこと。チャイナの議事の進め方は知らないが、次の人民代表大會を待たずに習近平が加速したといふことだらうか。
 この誤用事件は武漢研究所の蝙蝠ウイルス漏泄を指すのではないかと、香港臺灣等で議論を呼んでゐる。
https://www.epochtimes.com.tw/n305149/%E7%BF%92%E6%89%BF%E8%AA%8D%E7%94%9F%E7%89%A9%E6%8A%80%E8%A1%93%E8%AC%AC%E7%94%A8-%E4%B8%AD%E5%8D%97%E6%B5%B7%E5%85%A7%E9%AC%A5%E5%87%B6%E7%8C%9B.html


 なほ、上記と同樣の演習は、數年前から各地で行なはれてゐる。
http://www.customs.gov.cn/customs/302249/hgzssldzj/302340/zjw/mtbd16/2571758/index.html
https://www.sohu.com/a/282768609_120038603

 演習と前の時期の誤用とを結びつけるのは難しいだらう。誤用が武漢研究所の漏泄を指すのか分からない。もっと搜せば何の誤用か分かるかも知れないが、私のやうな片手間では少々難しさうだ。
習近平生物安全

(Jubilee Atlas)

Stanford's London Atlas of Universal Geography…   1887.  sold out 

3183



1887 Stanford's London Atlas of Universal Geography
2 Folio Vols 1st Edit   sold out
1887-stanfords-london-atlas-universal_d_worthpoint
1887-stanfords-london-atlas-universal__worthpoint
1887-stanfords-london-atlas-universal_b_worthpoint
1887-stanfords-london-atlas-universal_a_worthpoint

關聯:

Stanford's London Atlas of Universal Geography.」 1887年五月。

豪洲國家圖書館 MAP-Ra186

中表紙に、女王のJubileeに特別許可で獻呈と銘記。

https://nla.gov.au/nla.obj-230875671/view

https://nla.gov.au/nla.obj-230886248/view

https://nla.gov.au/nla.obj-230884901/view

.


岩田健太郎といふ醫師がダイヤモンド・プリンセス號告發ビデオ。 
https://twitter.com/ishiwinozomu/status/1229879796819255304
 私も最初は岩田緊急ビデオに怒りがこみ上げたんだけど、
岩田氏の論説とか色々見ると何か違ふなと思って半信半疑。
さうしたら左翼の安富歩氏(性別革命のあの人)が これを使って 
 これから日本中がプリンセス號になる!みたいに
言ひ出した。日本で感染増加の原因は
チャイナから入國禁止しないことなのに、
左翼式にすり替へてゐる。
そして岩田氏のお友達がみんな左翼陣營ばかりで、
要するに安倍内閣打倒が目的になってゐる。

ところが、着岸以後に感染率が上がらなかったことを、二月二十日に岩田健太郎氏も認めました。船の全員の努力の結果だと思ひます。世評で「歴史にのこる酷い隔離策」とは全く逆に、巨大船の隔離としては、歴史にのこる素晴らしい教材となったと思ひます。絶贊です。

https://twitter.com/ishiwinozomu/status/1230670494757724160
  岩田もプリンセス號の成功を認めました

https://twitter.com/ishiwinozomu/status/1230769962752462848


  着岸後に感染率が下がった數値はこちら。
 議員のツイッターから拜借。研究所の發表。

プリンセス感染率


この岩田氏、二月二日の段階では「武漢よりも子宮頸癌の死亡率が高い」と發言して世間を呆れさせたあの醫師だったのだな。こりゃ信用ならん。

岩田健太郎子宮頸癌

さらに曰く、「この前インタビューで申し上げましたがゴキブリって案外健康被害はないんです。バイキンたくさん持ってても感染の原因にはなりにくい。感染には感染経路が必要。ゴキブリ食べたり床舐めたりしなければ大丈夫。ゴキブリは鬱陶しいわりに実害なし。ネトウヨみたいなものです。ネトウヨは気を悪くしないでください。あなたたちがゴキブリに似ていると言いたいのではないのです。ゴキブリがあなたたちに似ているだけなのです。」

最後に、今度の告發ビデオですが、岩田氏は削除。馬鹿げた騷動として終結しました。
https://www.youtube.com/watch?v=W3X3RSmf7ds




.

今日2/16、孫向文さんが廣めて下さった論文。
 2/12から香港臺灣等で話題になってゐるやうだ。

武漢2019冠狀病毒S蛋白可能存在Furin蛋白酶切位點          
摘要:2019年12月,中國武漢報道了Beta冠狀病毒引起的肺炎。基於基因組信息,溯源分析的結果支持武漢2019冠狀病毒源自中華菊頭蝠,但與SARS冠狀病毒差異很大,這一結果與兩者臨床症狀差異一致。前期研究還發現了Beta冠狀病毒存在大量的可變翻譯,並從分子水平揭示了該病毒變異快、多樣性高的特點。本研究在國際上首次報道一個重要的變異,這個變異引入了一個可供Furin蛋白酶切的位點,是此前所有發現的SARS和SARS樣(SARS-like)冠狀病毒所不具備的,這種變異有可能增強了武漢2019冠狀病毒的傳播能力。作為一個意外發現,一些禽流感病毒也可以通過突變獲得一個Furin蛋白酶切位點,以提高其侵染細胞的效率。2019冠狀病毒的包裝機制有可能與鼠肝炎冠狀病毒、HIV、埃博拉病毒和一些禽流感病毒的包裝機制相同,而不同於SARS等其它大部分Beta冠狀病毒。本研究的思路和方法對研究病毒變異,以及藥物、抗體和疫苗的開發等依然有指導意義。如果Furin蛋白酶切位點及相關機制預測正確,意味著現有的大量抗病毒藥物(特別是Furin蛋白酶抑制劑)可以利用,實現老藥新用。另外,我們從臨床治療心衰的組合用藥數據中為武漢肺炎的雞尾酒療法推薦了幾種可以抑制Furin蛋白酶的藥物。
https://drive.google.com/file/d/1VTjEtnE6pzzBZVgyIL7BlNS3id1rQzJO/




ただ、同じ現象は他の論文でも報告されてゐるさうだ。
2/10
1/24

1/30

南開大學論文

.


八重山日報談話連載「小チャイナと大世界」13。有料。

1887-1889Stanford_London_Atlas_Universal_Geography_合尖閣明治

 
スタンフォード
Stanford's London Atlas of Universal Geography二種。

上部の「Tiau-su」「Tia-yu-su」は尖閣。

 右は明治20年版、豪洲國家圖書館MAP-Ra186。

 左は明治22年版、ルブリン・カトリック大学A-365。  

 昨年來、幾度か公表して來た明治18年八重山情報戰だが、

http://senkaku.blog.jp/010509Majaaka.html

http://senkaku.blog.jp/2019121881757058.html

http://senkaku.blog.jp/2019121881757058.html

http://senkaku.blog.jp/020114.html

明治政府が明治18年に八重山を防衞する措置の結果、

明治二十年、イギリス製圖の尖閣八重山の西側に國境線が出現。

ビクトリア女王の50周年(Jubilee)に獻呈された。

この線は、それまでのシュティーラー圖と較べると、

http://senkaku.blog.jp/2017030469714502.html
http://senkaku.blog.jp/20160826stieler1867.html

http://senkaku.blog.jp/2016071863676758.html

http://senkaku.blog.jp/2016062862486551.html

http://senkaku.blog.jp/archives/1453620.html

明治20年版だけが極めて獨特である。

しかしスタンフォードは二年後の明治22年には

線を通常のシュティーラー圖と同じ形にしてしまふ。

明治20年のJubilee Atlasが如何に獨特だったか分かる。

正式な詳細は今日の八重山日報にて。

 以下關聯リンク。


Stieler切縮Hand-atlas_1867_石井平成29購入
 Stieler "Hand-atlas"  慶應三年(西暦1867)。いしゐのぞむ個人藏。尖閣の西側から臺灣東南側まで國境線。スタンフォード1887年圖と異なり、二年後のスタンフォード1889年圖とほぼ同じ。


Stanford's London Atlas of Universal Geography.」 1887年五月。

豪洲國家圖書館 MAP-Ra186

中表紙に、女王のJubileeに特別許可で獻呈と銘記。

https://nla.gov.au/nla.obj-230875671/view

https://nla.gov.au/nla.obj-230886248/view

https://nla.gov.au/nla.obj-230884901/view

 

 

Stanford's London Atlas of Universal Geography.」 1889年。

http://www.worldcat.org/oclc/62577265

http://www.worldcat.org/oclc/557993714

https://dlibra.kul.pl/dlibra/publication/edition/15065?id=15065&dirids=49&lp=39

http://dlibra.kul.pl/dlibra/docmetadata?id=15065&dirids=49&lp=39

  ポーランドCatholic University of Lublin公開djvu鮮明。



Stanford's Octavo Atlas of Modern Geography1894年。

 グーグルpdf108に尖閣の西の境界線。不鮮明。

中表紙に「女王陛下の地理学者」といふ王室御用達の認證あり。

https://books.google.de/books?id=SBFFAQAAMAAJ

https://catalog.hathitrust.org/Record/100576671

 


The Geographical Journal, 50

Royal Geographical Society.1917年第二號)。  

155ページにobituary(訃報) "edward stanford" 

1893222日にRoyal warrant(王室御用達)の證明。

https://www.jstor.org/stable/1779933

https://books.google.nl/books?id=5k-VAAAAMAAJ

 

 

スタンフォード地圖店の公式ページ。

....and in 1887 published Stanford’s London Atlas Of Universal Geography dedicated to Queen Victoria on the occasion of her Royal Jubilee. Still, it took a few years more for Edward Stanford II to receive his royal warrant as Cartographer to the Queen, in 1893.

http://www.stanfords.co.uk/our-history

 

 

In 1893, the firm acquired the Wyld business, their chief rivals, and so consolidated their position as the leading cartographic publishers in England, recognized by their appointment as Geographer to the Queen. 

https://www.crouchrarebooks.com/mapmakers/sr.-edward-stanford

 

 

 。


舛添氏はチャイナに甘いので困るが、とはいへ、既に問題發生から一か月、日本はチャイナからの入國を封鎖しなかった。仕方ない、今後は國内で少しでも改善してもらふしかない。何も分からぬ一國民としては、今すぐ舛添氏を厚生大臣にしてみると良いのではないかと思ふ。SARSの經驗が活きるし、安倍内閣は仕事してますといふ人氣取りにも効果的だ。言ひ換へれば國民の意志を鼓舞するに効果的だ。人心一新といふか。。
-------------------------------
 三月十七日附記。その後、舛添氏はデマ屋岩田健太郎氏を起用するなどと言ってゐる。こりゃ駄目だ。


「元厚労相が叱る!国は新型インフルの教訓忘れたか」 
 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59355
2020.2.15(土) (舛添 要一:国際政治学者)
戦力の逐次投入ではウイルスとの戦いに勝てない
 2009年に新型インフルエンザが発生したときに、私は厚労大臣として対応に当たったが、そのときに苦労した経験が、今回の事態に活用されていない。そのときの首相は、今の麻生財務相兼副首相であるが、10年前のことは忘却の彼方ということなのかもしれない。安倍首相は、腹痛で辞職し、政治の表舞台からは退いていた。
 これまでの今回の政府の対応を見ていると、いくつかの点で問題がある。
 第一に、緊急対応策が決まったのが2月13日であることに象徴されるように、とにかく遅すぎるし、一気に大きな網をかけるのではなく小出しである。英語で言えば、“too little, too late”である。戦力を逐次的に投入して敗北した大日本帝国陸軍のようなことを行っていれば、ウイルスとの「戦争」に負けてしまう。
 第二は、政府部内の調整が十分にできていないことである。武漢からチャーター機で日本人を帰国させることを決める前に、2週間、隔離収容できる施設の確保をしておかなければならない。それをせずに、官邸の命令だということで拙速に事を進めたために、ホテルで相部屋などという信じがたい対応をしてしまっている。アメリカ、フランスなど他の先進国でこのような杜撰な対応はない。
 さらに言えば、民間のホテルの好意に甘える前に、各省庁が使用権限を持つ施設が全国にあるはずである。省あって国なしという縦割り行政だ。それを調整するのが内閣総理大臣の役割であるが、全く機能していない。役人は、首相の意向を忖度するのは上手でも、それは自分の出世のためであり、他の省庁など関係ないのである。いわんや、危機管理など念頭にない。
 新型インフルエンザのときも、同様な各省庁のエゴイズムに悩まされた。たとえば、感染拡大の防止には、休校や学級閉鎖が有効なことを厚労大臣が理解していても、学校は文科大臣の領域である。文科大臣がノーと言えば、動けない。
 そこで、私が知恵を働かせたのは、権限を厚労大臣に集中させることであった。それは、官邸の対応があまりにも現場無視だったからである。たとえば、政府の専門家諮問委員会は、メンバーを教授以上の肩書きの者に限るなど官僚的、権威主義的だった。
 そのため、若手の専門家や既存の医療エスタブリッシュメントに反対する者の意見が入ってこない。そこで、セカンドオピニオンを取り入れる必要があると判断して、私は厚労相直属の専門家による検討会(アドバイザリーボード)を設置することにした。現場で戦っている医師や看護師の意見ほど貴重なものはないからである。
 その上で、私は、政府の行動計画を弾力的な運用することにし、新たな基本的対処方針を決めた。その目標は、(1)国民生活や経済への影響を最小限に抑えつつ、感染拡大を防ぐ、(2)基礎疾患を持つ者を守るという2点である。そして、私は、感染症に関わる政策について、厚生労働大臣に権限を集中させることを政府全体で決めさせたのである。
 これで休校、企業の休業、薬・マスクなどの確保、電気・ガス・水道、食料品の確保など、すべて厚労相が指示できるようになったのである。つまり、役所の縄張り争いに邪魔されることなく、厚生労働大臣がリーダーシップを発揮できる態勢にしたのである。
 国内で感染者が拡大していくにつれて、水際対策を縮小し、医療資源を国内の現場に集中させることにした。水際作戦を始めてから、3週間後に、水際第一主義を変更したのである。
 以上のような10年前の具体例がありながら、その教訓が全く活かされていない。政治家に期待できなくても、厚生労働省は組織としてきちんと教訓を蓄積し(institutional memory)、それを活用すべきである。10年前の新型インフルエンザ発生のときに首相だった政治家が副首相として政権に参画していながら、この杜撰な危機管理は残念である。
新型コロナでは政府と自治体の連携が不十分
 第三の問題は、地方政府の意欲や能力を活用していないことであるが、これは中央集権の弊害である。また、民間の知恵と能力を弾き出すことができていないが、これは政府の官尊民卑体質のなせることである。
 新型インフルエンザのときには、厚労大臣の指揮下に運用方針を決め、時間の経過とともに、地域を(1)感染の初期、患者発生が少数であり、感染拡大防止に努めるべき地域と(2)急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域とに分けて対応をすることにした。とくに、(2)の地域の対応を大幅に緩和し、患者急増地域では、学校単位で臨時休校できるようにしたり、一般病院での受診や軽症患者の自宅療養も認めることにしたりしたのである。
 この政策変更には、大阪や神戸からの現地報告が背景にある。この決定を受けて、神戸市と兵庫県は保育所、幼稚園、小中高校の休校・休園措置を解除した。また、大阪府は、「都市機能回復宣言」を行い、一斉休校、イベント自粛などの感染拡大防止措置を解除した。
 今回、各地方自治体と中央政府の連携が十分でないし、前者の自主性を認める措置もとっていない。
 さらに、PCR検査なども最初から民間への委託を最初から考えておけば、もっと迅速に、もっと大量に検査ができたはずである。
 医療については専門性が高いので、一般の人が口を差し挟む余地がない。そのために、厚労省の役人、とりわけ、医系技官や薬系技官が嘘をついても誰も反論できないことになってしまう。医師は厚労省に楯突くと不利を被ることを恐れて正論がはけない。
 私は、東大で医学部の学生を教えていたので、教え子には医者や第一線の研究者がたくさんいる。厚労大臣のときは、その教え子ネットワークを活用して、医系技官たちの嘘や隠蔽や捏造を潰していったのである。
 私のようにこのようなサポート体制を持つ政治家は例外である。マスコミは、信頼できる専門家の力を借りて、正しい情報を国民に提供する義務がある。
 13日になって、新型肺炎で神奈川県の80代の女性が死亡し、その義理の息子の東京都の70代のタクシー運転手、和歌山県の50代の医師、千葉県の20代の男性の感染が明らかになった。これらは、海外渡航歴もなく、誰から感染したかがわからないケースである。つまり、いつでも、どこでも、誰でも感染する状態が生まれたということである。これは新しいフェーズである。
 医師の感染は深刻で、医師が勤務していた病院に受診歴のある70代の男性も感染していることが判明した。
 新型インフルエンザのときも全く同じ流れであったが、このフェーズになると、水際対策があまり意味を持たなくなってくる。今後、爆発的に感染者が増える可能性がある。政府は、これまでの方針を改め、新型コロナウイルスと戦う本格的な体制を整えねばならない。

舛添厚生大臣