山口謠司2
山口謠司3
山口謠司1

山口謠4

 4月1日に放送されたNHKのテレビ番組『日本人のおなまえっ!』で、大東文化大学の山口謠司氏が「會」について「米を炊く様子を表す」「ごはんをみんなで食べるというのがもともとの意味」「炊飯器に見える」「甑という土器が元になっている」などと説明。
 これに疑義を呈する向きもあるので、何にもとづくのかなと搜してみた。山口氏の著書論文を讀んだわけではないのでそこはご勘辨願ひたい。
 「會」の段玉裁『説文解字注』に、
「合也。見釋詁。禮經、器之蓋曰會。爲其上下相合也。」
(合するなり。釋詁に見ゆ。禮經に器の蓋を會といふ。其の上下相ひ合ふがためなり。」
とあるので、多分これだらうと思ふ。若い頃に少しばかり學んだ儒家經學だが、段玉裁が禮經と呼ぶのは周禮でなく儀禮だったかなと思ひ出して搜すと、段玉裁『經韻樓集』卷二「禮十七篇標題漢無儀字説」に曰く、
「(漢書)藝文志曰、禮經三百、威儀三千。…(鄭玄)毎舉篇名、未嘗稱儀禮。…」
 といふわけで段玉裁が禮經と呼ぶのは『儀禮』である。『儀禮』の「士喪禮」に曰く、
「敦、啓會。」
と。敦といふ禮器、そのふたを開く。このあたりから山口氏は甑とか延伸解釋してゐるのかも知れない。

林巳奈夫「儀禮と敦」。史林63卷六號。
http://hdl.handle.net/2433/238583

林巳奈夫儀禮と敦