令和二年度末(多分十二月ごろ)、内閣官房領土室の委託調査報告書の總輯が公表された。 
 これを以て調査を終へるとのこと。この第二に列せられる寛政七年(西暦千七百九十五年)の土佐『下田日記』の「魚釣臺」の琉球倭訓「イヨコン」(イヨコシ)が極めて重要。世界史を動かす重要性。國吉まこも氏がこの記述を發見し、日本國問研究所講演で論及したのが初出である。
 報告書で言及されてゐる諸本の内、九州大學と京都大學は電子目録に『土佐國羣書類從』の散本が見えるに過ぎないが、目録外にあるのだらうか。群書では索中せず、羣書と打鍵する必要がある。
 報告書には國立公文書館内閣文庫藏本が採用され、東洋文庫藏本、國會圖書館藏本、及び東大史料編纂所藏本が言及されてゐる。いづれも『土佐國羣書類從』卷八十二。東大本ではイヨコシでなくイヨコンとなってゐる。東大本の公開電子圖像(第六十一葉)は以下の通り。書目ID: 00055911。請求記号:2041.84-20。 
 
魚釣臺イヨコン下田日記東大史料編纂所

このイヨコンの重大な意義は、既にテキサス中世學會で口頭發表した。ただの島名ではない。全尖閣史を規定する大發見である。委員會の席上でこれはものすごく重要ですと發言したのが議事録にもある筈だが、國吉まこも先生以外は重要性を理解してゐない。詳細は後日何らかの媒體で解説するが、ひとまづ備忘リンク。
東洋文庫。 
 國會(マイクロフィルム)。
https://id.ndl.go.jp/bib/000007282180
 國書總目録。

論文。寺島宏貴「『土佐国群書類従拾遺』所収『新聞歴史』(一八八〇)―諸本及び本文の検討―」、『北の丸』第52号(令和2年3月)