只今羽田空港の電源席。石垣島1/14尖閣式典講演のため石垣島往きに搭乘する數十分前。怒り。
 高森明勅といふ愛國者めいた人物が、週刊誌にコメント。-------------
 「女系の血が許されていなかったとは言えません。なぜなら、女系天皇を認める文献が残されているからです。古代日本の基本法だった『大宝律令』『養老律令』では、天皇の子供は親王・内親王の地位が与えられるという規律がありました。さらに、女性天皇と男性皇族の間に生まれた子供も同じ地位を与えるよう定められていました。
 親王・内親王という位は、天皇の血筋を受け継ぐ者が与えられるもの。男性皇族の血を受け継いだだけならば、子供は『王』『女王』という位になります。このことからも、女性天皇の子供、つまり女系継承も認められていたと理解できます」
と。------------
以上、高森氏コメント。

 何を仰せか。そもそも女性天皇と男性皇族の間に生まれた子供は、皇族を父とするのだから皇統男系である。男系皇族内の事であって何の問題も無い。
 高森氏の主張では、親王(皇子)だけが直系で、他の皇族(諸王)は男系ではないのだといふ意味らしい。ほほう。皇族に外戚の子が混じってゐるといふのか。皇室に對する侮辱である。そして高森氏は更に、その外戚出身皇族男子と女帝との間の子が皇位繼承資格があるのだといふ。

 律令原文には高森氏の虚妄説と逆のことが書いてある。「皇族だけしか女性皇族を娶ることができない」(養老令・繼嗣令末條)と。つまり女性皇族は皇族のまま(=女性宮家として)外戚と結婚することができないのである。外戚(藤原氏や小室氏)に嫁ぐ場合は「降嫁」(例として和宮降嫁)となるので、皇籍を離脱する。

 何故高森氏のやうな逆の虚妄説が可能となるのか。それは「皇族の一員として外戚が這入り得る」といふ勝手な前提を立ててゐるからである。皇族藤原氏、皇族小室氏、と言ひたいのだらうか。小室氏といふ人物は破天荒で面白いので活躍して欲しいし、眞子樣が降嫁されるのも良いと思ふが、斷じて皇族となってはならぬ。人物の問題ではない。

 以下は、外戚男系皇族を禁止した律令。令集解・養老令(ほぼ大寶律令そのままとされる)。慶長年間寫本、國會圖書館藏。
令集解卷17繼嗣令2切_清原秀賢慶長寫本國會藏

「凡王娶親王、臣娶五世王者聽。唯五世王不得娶親王。」
(凡そ王の親王を娶り、臣の五世王を娶るはゆるす。ただ五世王は親王を娶るを得ず。)

 大意。まづ、五世代離れたら皇籍を與へられず臣籍となる。そして親王を娶る(娶るといふ動詞の相手は女性皇族=内親王を指す)ことは四世代までの王(皇族)にだけゆるされ、臣籍(皇族外)の者は内親王を娶ることができない。つまり内親王は皇族としか結婚できない。
 よって内親王が即位して女帝となっても、その子は皇族男子の子なので、男系となる。内親王が臣籍の者に降嫁したら皇籍を離脱する。女性宮家とならない。和宮降嫁。

 以上のことは、現代の我々にとっても當り前なので、養老律令のその條文の末尾に書いてある。
 同條の上文には「女帝の子もまた同じ」とある。以下に寫本。。
令集解卷17繼嗣令_清原秀賢寫本國會藏
 
 この「女帝の子」とは、前述の通り、皇族内の父を持つ子である。つまり男系皇統の子である。高森氏は、女帝がどこかの外戚(藤原氏や小室氏)と結婚するといふ空想をしてゐるらしい。あまり歴史的時空を考へずに現代論壇で生きのこることだけを考へてゐるのだらうか。高森氏のこの種の歴史のウソは、尖閣に對するチャイナのウソ宣傳と形式上で類似性がある。

 以上については、私の談話ビデオを昨日チャンネルAJERで準備中なので、近日中に公開されるだらう。

 關聯。