古代の草舟で臺灣から與那國まで黒潮を渡らうといふ試みが話題になり、大きな資金を集めてゐる。國立博物館の海部氏を中心としてゐる。宣傳文句には「日本人の祖先」云々と書かれてゐる。しかしこの計劃は資金の無駄であると、素人ながら私は考へる。
 日本列島に人類が渡來したのは、1、朝鮮半島經由、2、琉球列島經由、3、北海道經由、ださうだ。朝鮮半島經由は繩文人なので、後の百濟新羅等とは全く別であることは言ふまでもない。そして二番目の琉球列島經由が今度の計劃の主題だ。
 しかし琉球列島出土の港川人(約20,000年前)は繩文人ではないと、海部氏自身が研究してゐる。繩文以前の人々であって、後に消滅したらしい。繩文人でないのだから、「日本人の祖先」といふ宣傳はウソである。
琉球列島舊石器遺跡海部プロジェクト

 上圖は海部氏が提示するものだが、海部氏はこれらが臺灣から渡って來たと考へてゐる。約三萬年前に集中してゐるといふ。しかし素人目にも分かるのは、琉球列島北部が早く、南部が晩いのではないか。朝鮮半島から先に渡來した人々(繩文人乃至それ以前の人々)が北から南下した可能性が高いではないか。
 上圖は繩文人ではないのだらうが、後の繩文に始まる日本文化は、與那國までで完全に斷絶し、臺灣との共通性が皆無である。黒潮に隔てられたからである。日本の原像は、現代の日本領土とほぼ一致してゐた。海部氏はそこを無視して、あたかも古代日本の範圍が不明瞭だったかの如きイメージを廣めてゐる。
 臺灣から與那國へ、草舟で渡るといふ試みの資金は、完全に無駄に終る可能性が高い。そんなことよりも、もっと資金を投下すべき研究がある。勿論、尖閣もその一つだ。

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