NHKスペシャル「中國文明の謎」第一輯「中華の源流、幻の王朝を追ふ」
https://www.nhk.or.jp/special/china-civilization/
の再放送を見た。河南省の「二里頭」が夏朝の遺跡であるかのやうに懸命に宣傳し、いかにもチャイナは古いぞと言ひたげであった。まさしくチャイナ共産黨「夏商周斷代工程」
http://senkaku.blog.jp/2017112673794368.html
の虚構のお先棒をかついでゐる。しかし二里頭(西暦紀元前十八世紀から紀元前十四世紀前後)が夏朝だといふのは、夏朝の地點を擬する諸説の一つに過ぎない。
 以下に素人程度の理解でNHKを否定して置かう。二里頭文化の後半期は、青銅の禮器(爵など)が出現し、その形状は明らかに商朝の特色である。漢字創製が紀元前十四世紀頃で、商朝の中期であるから、二里頭後期と商の前期とは年代が重なる。普通に考へれば二里頭後半は夏朝ではない。二里頭前期までは、ほかにも黄河流域に樣樣な原始的文化遺跡があり、どれがチャイナなのか分からない。といふよりもチャイナは存在しなかった。ただ諸民族の諸文化が存在しただけである。
 史書によれば商朝前期は各地に遷都を繰り返し、もとは山東省から出自したのである。二里頭後期とはそもそも位置が異なる。漢字の出土する殷墟は二里頭の近隣である。要するに漢字以前の文化といふのは樣樣に入り亂れて、どれがどれだか分からない。
 一方、繩文文明は一萬五千年だ。ほぼ現代日本の領土と重なる。チャイナのやうに侵掠と擴大と斷絶を繰り返した大陸文明とは大いに異なる。チャイナ三千餘年のやうな「若い文明」から較べれば繩文文明は遙かな大先輩だから、夏か殷商かと細かな年代の議論をするまでもない。奇跡の繩文文明こそ、外務省補助金「主權領土歴史」研究の中で一つの柱とせねばならない。
 外務省補助金「主權領土歴史」 VS チャイナ共産黨「夏商周斷代工程」。
http://senkaku.blog.jp/20170829hojokin.html
http://senkaku.blog.jp/20170827hojokin.html

 NHKはもう一つ、山西省の陶寺村の太陽觀測遺跡が二十四節氣と一致するから、現代まで繋がってゐるといふ妄説を強く支持した。しかしこれも、節氣が二十四種揃った遺跡ではなく、ただ夏至冬至、春分秋分および幾つかの日の出の方向を觀測してゐたといふだけに過ぎない。
 夏至冬至、春分秋分は、近い時期のイギリスのストーンヘンジでも觀測され、ちっともチャイナ文化ではない。後の二十四節氣のやうに細かく分ければ、陶寺村の太陽の方向のどれかに近似的にあてはまるのは當り前だ。
https://kknews.cc/news/g2yza9e.html
http://page.palmtrends.com/show.php?id=l3dwl3l3SsM74
何でも誇張したがるチャイナ人ですら「陶寺には二十の節氣だけしか無く、漢代の二十四節氣とは異なる」といふ考古學者の判斷を否定できずに載せてゐる。二十から二十四へ進歩したといふ問題でなく、そもそも同一系列の文化だといふ根據が無い。これではちっともチャイナ文化ではない。
 しかもイギリスは現存だが陶寺は復元だ。八千年の古代オリエント文明から較べれば子供だ。このやうに、少しばかり古いものは無理やり何でもチャイナだと牽強傅會するのが現代チャイナの常である。NHKはチャイナ放送東京支局か。

二里頭青銅爵