尖閣について同盟國アメリカの理解を求めることが必要だと言はれてゐる。特に保守派の人々の間でその考へ方が強い。大新聞に廣告を出したり、親日派のアメリカ人の協力を求めたりしてゐる。數年前に石原愼太郎都知事の新聞廣告もあった。
 私に言はせれば、そんなことは無駄だ。アメリカに「日本の主張」を理解させても、それはアメリカ全國民に受け容れられるわけではない。アメリカ側では、日本に言はれれば「その通り」と相槌を打ち、チャイナに言はれれば、「まあさういふ考へ方もある」と返答する。兩方の主張の板挾みとなって右往左往するだけだ。人間だから當り前だ。
 アメリカに理解させるべきは「事實」であって、「日本の主張」ではない。「主張」は「事實」に勝てない。現状では事實をアメリカ人が理解してゐないことだけが問題だ。事實だけ確定すれば、それを國際法でどう解釋するか、そんなことはアメリカ人も馬鹿ではないから分かってゐる。事實が定まれば法的解釋も定まる。
 歴史的事實を理解させるために、アメリカに乘り込んで徹底討論する。アメリカ人の認識が誤ってゐれば、それを正すために喧嘩する。道場破りだ。大聲は必要無い。事實で眞っ向から反駁すればそのまま喧嘩できる。チャイナからの留學生が集まって來て大聲で叫び始めるなら更に良い。全部まとめて論破する。
 しかしアメリカの法曹や政界の人々に對して歴史的事實を語っても無駄だ。彼らはそんなことに興味が無い。史實を理解させるべき相手は史學者だ。史學者ならば身を乘り出して議論に加はって來る。現代史の研究者ですら少しは乘って來る。最も積極的に議論に乘るのは近代以前の東洋分野研究者だ。
 學會で左翼の史學研究者らを論破することは、費用さへ有れば簡單だ。どの學會が良いか教へてもらって、申込事務も代行してもらって、あとはエコノミー航空券で一人で行けば良い。發表稿を事前に有料で英譯し、通譯を數日間雇ふにも少々お金がかかるが、あまり水準の高い通譯は必要ない。難しい論理は必要なく、史實は單純だ。史實が複雜だと思ってゐるならば大間違ひだ。
 發表稿は自分で安倍首相程度の英語で讀み上げれば通じる。質疑應答だけ通譯が必要だ。かりに通譯が日本側の言葉を省略氣味に譯し、アメリカ側ののたまふことだけ詳細に譯するやうでは逆だ。それは通譯の心構への問題だ。心構へのしっかりした通譯であれば誰でも良い。高級通譯は必要ない。
 アメリカの歴史學者を全員論破すれば、アメリカ輿論は一氣に日本支持に傾く。NYタイムズ第一面でも悠久の尖閣史の連載が無料で實現する。左翼に勝つことこそ全勝の道だ。政治家や法律家の力よりも遙かに大きい。アメリカの政治家の言葉も「主張」としてしか受け取られないので無駄だ。
 歴史で全勝することこそ、遠いやうで近道だ。媚び諂ふロビー活動などもうやめよう。「萬機公論に決す。」


石原都知事アメリカ新聞廣告


ついでに。
0527内閣官房公表尖閣史料徹底解説