尖閣諸島の地元名「よこんこばしま」。

「よこん」の初出は明治十八年九月十四日、大城永保の報告書に見えると、著名な黒岩恆「尖閣列島探檢記事」に言ふ。『地学雜誌』第十二輯、明治三十三年。大城報告書は今略す。

「よこん」の解釋は昭和十三年、幤原坦『南方文化の建設へ』(冨山房)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1918742
第六十五頁に引く宮良當壯氏直話に見える。曰く、
「八重山出身の宮良(當壯)學士の直話によると、八重山列島の一小島に、イーグンといふ島がある。イーグンとは、イユクンといふことで、イユは魚、クンは國、又は區域の意義であるといふ。この魚の國は、島を意味する古い言葉であったのであらう。」
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1918742/48
と。「ゆくん」「いゆくん」は、「よこん」「いよこん」に同じ。琉球方言では兩者が合一する。「いよ」は古語「いを」の琉球方言である。琉球方言で「國」(くに)を「くん」と音便するのは、國頭(くにがみ)を「くんじゃん」と讀む。「じゃん」は、
  がみ→ぎゃみ→じゃみ→じゃむ→じゃん
と想定すれば良い。明治十一年河原田盛美『沖繩志略字引』でも「くんぎゃん」とかなを振ってゐる。
http://archive.library.pref.okinawa.jp/wp-includes/images/tmp/1002009197_0005-0006_0ef9490d3a329300bccf4e9ad3c41cb2.jpg
http://archive.library.pref.okinawa.jp/?type=book&articleId=50247

「よこんこばじま」は「魚國久場島」だといふことになる。

宮良當壯氏については琉文21の頁に記事あり。
http://ryubun21.net/index.php?catid=2&blogid=1&archive=2014-09
http://ryubun21.net/media/2/20140927-IMG_8973.JPG
宮良當壯
宮良氏の留影二葉か琉文21に出てゐる。リンク:
http://ryubun21.net/index.php?itemid=8161
http://ryubun21.net/index.php?itemid=11337

私は門外漢だが、魚國についてはウィキペディアに出てゐた。ウィキペディアといふのはとても有り難いものだ。

幤原坦南方文化の建設へ引宮良當壯イーグン魚國
 ▲幤原坦『南方文化の建設へ』(冨山房)第六十五頁宮良當壯氏直話。

後に牧野清「尖閣列島小史」で「イーグン」を銛(もり)とする。季刊『沖繩』第五十六號。
http://www.geocities.jp/tanaka_kunitaka/senkaku/kikan-okinawa56/
http://www.geocities.jp/tanaka_kunitaka67/kikan-okinawa56/33.jpg
リンクは田中邦貴氏ホームページ。