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『八重山日報』連載「歐洲史料尖閣獺祭録」第五十九囘 
「泰斗の名を冠し、尖閣は八重山の内、ドイツの地理學系列情報 ~西暦千八百四十七年 『リッター地理情報百科全書』(ドイツ)」

 私が尖閣古史を研究するのを理論武装の道具と解する人が多いが、必ずしも本意ではない。勝ち負けは必要だが、理屈で勝てば良いわけではない。報導によれば、尖閣附近のチャイナ公船が八日ぶりに全て退去したといふ。しかし相變はらず安倍政權は尖閣に自衞隊など公務員を常駐すらさせない。國際法でも兵力でも勝ってゐるのに、實際(じっさい)には勝ち切れてゐないではないか。
 韓國は竹島を要塞化し、インドネシアやベトナム等はチャイナ違法船を撃沈した。何故日本はそれができないのか。經團聯(けいだんれん)や米國政府が日本に自己抑制を求めてゐるからだと世間では推測されてゐる。確かに彼らの要求をはねのけるのは難しいだらう。はねのけるには何か安倍政權を強く後推しする最大の力が足りないのだ。それが歴史である。
 チャイナはそもそも尖閣を發見(はっけん)も命名もせず、水先案内を琉球國公務員に委ね、尖閣の遙か西方に明瞭なチャイナ國境線及び海防線が數百(すうひゃく)年間存在した。その歴史の細部について、ニューヨーク・タイムズ及び朝日新聞が第一面で百日間連載する。NHKスペシャル十囘連續(れんぞく)で尖閣古史を放映する。そこからがやっと出發點(しゅっぱつてん)だ。
 單(たん)に現代國際法で勝ったとか、日米安保條約の對象だとか、そんなチャチな話だけでは足りないのだ。學術にもとづく魂の歴史を人々が理解して、始めてオール日米・左翼右翼の九割の支持を得られる。その時やっと安倍首相は尖閣常駐を決斷(けつだん)できる。
 連載第五十五、五十六囘について、某保守系新聞記者の態度を五十七囘で批判した。そもそもニューヨーク・タイムズ及び左翼新聞がこの重大史實(しじつ)を載せなければ大した効果は無いので、某保守系記者には「今度の新情報については第一面上段右側掲載以外謝絶します」と最初に申し上げた。
 それでもなほ質問状などを寄越すので、私はグーグル地圖(ちづ)以外の全既出情報をわざわざ提示した上で、「これ以上の細かな點は掲載決定後にお答へします」と重ねて謝絶すると、捨てゼリフに曰く、「他社は載せる筈(はず)が無いし、わが社の地方版すら載せられない」といふ。最初から載せるつもりが無いなら多忙の身を邪魔しないで欲しい。
 この記者は、既出情報について繰り返し繰り返し否定的な問合せをしてくる。勉強する氣(き)など無いのだ。うるさくて私は身がもたない。これが保守系某媒體(ばいたい)のお寒い現状である。幸ひ八重山日報及び系列の媒體には尖閣古史をしっかり取り上げて頂いてゐる。實(じつ)に有り難いことだ。
 さて、本日の史料は……
 ……何はともあれこの時代の雜版百科全書に、またも尖閣を八重山とする記述が出現したのは喜ばしい。 保守系を以て自任する媒體なら、たかがこの程度でも第一面に掲載してくれて良い筈だ。
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圖134_Ritter1847geographisch_statistisches_lexikon_p563Hoapinsu
 ▲圖134 『リッター地理情報百科全書』第五百六十三頁。
(Ritter's geographisch-statistisches lexikon)
ライプチヒにて、西暦千八百四十七年、
オットー・ヴィガント(Otto Wigand)氏刊。
「niedrig」:低い。「bewaldet」:樹木の茂る。
スタンフォード大學藏本、グーグル・ブックスより。


連載第五十七囘リンク:
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