チャイナの各地媒體によると、國防部は東支那海の海空聯絡機制につき、推進すべく重視してゐると表明したといふ。そして進まない障碍は日本側にあると述べたさうだ。
http://finance.ifeng.com/a/20160630/14545890_0.shtml
このやうな表明はこれまで無かったことで、初めてであると南方都市報が報じてゐる。
http://epaper.oeeee.com/epaper/A/html/2016-07/01/content_52146.htm
私もこれまでチャイナ側が拒否してゐるとだけ聞いてゐたので、南方都市報の言ふ通りなのだらうと思ふ。チャイナは態度を變へた。當然、先日の戰鬪機の接近及び攻撃動作と相呼應する表明だらう。
http://mainichi.jp/articles/20160629/k00/00m/030/138000c
要するに尖閣をチャイナ領土とする前提で聯絡機制を練り直せといふ要求なのだらう。日本側はいつも通りにそのやうな要求を無視して、急ぎ尖閣に自衞隊基地を建設すれば終ってしまふ話だ。領空領海侵犯があればその瞬間に撃墜する指令を事前に自衞隊に出しておけば濟む。そもそもチャイナは日本の領空領海と認めて無害通航するのではないから、無害通航權の行使でも何でもない。撃墜撃沈指令で平和になる。ニュースにする價値すら無い。

 問題は、安倍政權自身である。これまで安倍政權は、小笠原のチャイナ漁船を撃退せず、一昨年(平成二十六年)十一月の北京APECで史上初めて尖閣の文字を外交文書に書き入れた。要するに防衞の意志を持たぬ政權である。ただ周邊の戰力だけ擴充して、防衞を固めてゐますと世間に見せてゐるだけだ。肝心の尖閣そのものを防衞するつもりは無い。韓國でも竹島に要塞を建設してゐるし、インドネシアや越南も違法漁船を撃沈する。安倍政權は、できることをする意志が無い。
 されば今後、尖閣について玉蟲色の海空聯絡機制でチャイナと合意するだらう。尖閣は完全な日本領土でなくなり、幾分かチャイナの權益を容認するやうな形になる。しかし玉蟲色で、互ひに都合良い解釋ができるやうにするだらう。それで國民は騙された氣がしながらも、ぎりぎりの處で納得する。いつものやり方だ。
 外務省に責任を轉嫁してはいけない。これは安倍政權の暗黙の方針なのだ。私は斷乎反對する。五百年の歴史ある尖閣諸島。尖閣の歴史を理解しないから、尖閣防衞の意志を持ち得ない。國民全體の責任だ。もう尖閣喪失の時は近い。

七月四日附記。
チャイナ國防部は今日の記者會見で、チャイナ側戰鬪機が先に日本のレーダー照射を受けて、チャイナ機が「戰術的機動措置」を採取した處、日本側戰鬪機は赤外線攪亂彈を投じて逃れた、と述べた。
http://www.mod.gov.cn/info/2016-07/04/content_4687271.htm
 レーダー照射の眞僞はすぐ分かることだらうが、口頭攻撃を好むチャイナ政府が今迄レーダー照射を言はずにゐたのだから、無かった可能性が極めて高い。しかし、假にレーダー照射したとしても問題無い。何故ならチャイナは日本の領空そのものを認めないと宣言してゐるのだから、侵犯の意圖は明白であり、日本は先制防衞しても良い。否、先制防衞せねばならない。首相の指令次第だが、國内法の問題に過ぎない。先制防衞も可なのだから、レーダー照射も可である。どの空域でといった細かなことは私には分からないが、防衞の專門家に任せれば良い。
 勿論前提は尖閣が日本の領土だといふことだ。ここで四百八十年の歴史が重要になる。チャイナは四百八十年間完全にゼロなのか、それとも一定の何かを尖閣に及ぼしてゐたのか。それによって國際輿論の受け止め方は違って來る。國際法だけでは日本は世界輿論の百パーセントの支持を得られず、八割ほどにとどまるだらう。歴史が決め手なのだ。
 チャイナ國防部の言ふ「戰術的機動措置」とは何か。日本政府はただ「空中のやり取りが有った」とだけ述べてをり、攻撃的動作は無かったとしてゐる。「機動措置」は動作であらう。「戰術的」は攻撃か防禦かのいづれかだらう。これに對して日本機は赤外線攪亂彈を投ずる必要が有ったとチャイナ國防部は認めてゐるのだから、チャイナ機の動作は防禦的でなく攻撃的だったといふことになる。 
 チャイナ國防部は、織田元空將の言ふ「攻撃的動作」を自ら認めたのだ。日本政府すら認めない事實をチャイナが認めた。安倍首相は明らかに尖閣防衞を放棄する決意だ。
 されば、軍艦や戰鬪機が來ても日本は實力排除しない(撃墜撃沈しない)と分かってゐる。チャイナは幾らでも前進することが可能だ。論理上は明日にも尖閣に軍艦が横づけして、チャイナのヘリコプターが昇降しても、チャイナが發砲しない限り日本は先制防衞せず、ただ抗議するだけだ。それが論理上の現状である。もう尖閣喪失はすぐ目の前まで來てゐる。

織田邦男
  ▲右は織田邦男氏(チャイナ戰鬪機の攻撃動作を明らかにした人物)