montani

文谷數重といふ軍事評論家なる人物が論説(下方に節録)を書いてゐる。ほぼ曰く、
「今尖閣接續水域で無害通航權行使は合法なので抗議すべきでなかった。逆に日本は南沙を同じく無害通航して仕返しすべきだった」
と。
http://toyokeizai.net/articles/-/123508
 根本的前提が間違ってゐる。チャイナ軍艦は、日本の接續水域で無害通航權を行使したのではない。自國の毘連區(ひれんく、接續水域)に這入る權利を行使したと言ってゐる。すなはち日本の接續水域を認めないことを通航で示したのである。無害通航ではないから日本は抗議した。直前にロシアが無害通航しても日本は抗議しなかった。日本政府は全く正しい。
 南沙はチャイナが越南から武力で強奪したのであり、チャイナの正當な領土ではない。それを尖閣と同列に扱って相互に仕返しといふのは、尖閣に領土問題があるといふ印象を世界に與へる。尖閣に於いてチャイナがゼロであることは、國際法は勿論のこと、歴史について私が證明した通りだ。文句があるなら文谷氏は私に反證して欲しい。私の歴史研究は部分的に政府委託調査の成果にも採用されてをり、一つの權威である。若き文谷氏は是非權威に挑戰して欲しい。
 日本軍艦は仕返しとしてでなく、平常から南沙海域を無害通航すべきであった。その遲れをこそ批判すべきであって、仕返しといふのは全く誤りだ。但し南沙を航行せよといふ點だけに限定すれば文谷氏の主張は正しい。南沙が誰の領土なるかを問はず、無害通航は可能である。
 日本が尖閣に公務員を常駐させないことが、火種を作ってゐる。無人島の周邊をどちらの公船・軍艦が自由に航行できるかといふ爭ひめいた形を作り出してゐる。島中に常駐してゐれば、通航の爭ひは意義を成さなくなる。國際法に「無人島」といふ語が出現する以上、無人島と居人島とは法的に同一ではない。

 以上は、私の尖閣研究とは全く關係ない。ただの常識的理解に過ぎない。文谷氏はこんな簡單なことも分からないのか。軍事評論家を名乘るのだから、分からない筈は無からう。故意に誤魔化してゐるのか。どちらでも同じことだが。
 平和のため、日本がすべきこと。
1、尖閣に公務員を常駐させる。
2、南沙で無害通航する。
3、尖閣及び南沙の歴史研究及び歴史宣傳戰を、壓倒的物量ですすめる。
以上。
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6/25附記。「軍事評論家・文谷數重氏と、咬み合はぬ議論」
http://senkaku.blog.jp/2016062462254740.html
こちらのリンクも併せてご覽下さい。~~文谷數重氏のブログについてWIZといふ人がコメントで知らせてくれた。早速以下の通りにブログに書き送っておいた。
http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-1649.html
今晩は。
http://senkaku.blog.jp/2016062262084142.html
 私がこちらリンクで書いた原文は、以下の通り。
 「尖閣に於いてチャイナがゼロであることは、國際法は勿論のこと、歴史について私が證明した通りだ。文句があるなら文谷氏は私に反證して欲しい。」
 要するに尖閣の歴史について反證して欲しいといふことです。何故なら文谷氏の議論はチャイナが尖閣でゼロではないといふ前提に見える(世間にさう見せてゐる)からです。歴史とは歴代の歴ですから、長い年月の古典史料の虚構こそ問題です。
 領海と接續水域との差は、勿論私が誤りでせう。無害通航と呼ばず、國際法にもとづく呼び方に交換して頂ければ幸ひです。
  戰前の南沙は臺灣に屬する「とした」(元々屬すると主張した)のでなく、屬「せしめた」(新たに占領した)のですから、日本が放棄する領土の内として無主 地に戻っても、中華人民共和國に屬する土地ではないでせう。精確には國際法の人にお任せします。日本が占領する以前に臺灣に屬したことは一度も有りませ ん。
 そもそもチャイナの南沙主張は二千年といふ虚構にもとづいてゐるので、二千年間の歴史的虚構を否定するのが正道です。多數の史料ですが、簡單に否定できます。
  人工島については無害通航でないとの點も、私は細かく考へてゐません。南沙については日頃から無害通航し、人工島についてはそれと別扱ひとなるわけです か。人工島は多分國際法に存在しない概念でありませう。とすれば法的には公海上の障碍物なのでせう。とすれば國際社會は障碍物を取り除くべきだといふこと になります。細かな解釋は國際法にお任せしますが、要するにチャイナの横暴を阻止すべきです。
 文谷氏は私が希望するやうに歴史について反證するつもりは無いやうです。しかし要するに尖閣でチャイナはゼロです。南沙でも歴史的にはチャイナはゼロです。ゼロを前提として國際法や軍事の議論を全て組み立て直して頂きたい。それが私の希望です。
 文谷氏の文末に曰く、「尖閣の支配は百害あって一利もない」と。領土を支配しないのですから、話がかみ合はぬのも道理でせう。細かなことを述べずに尖閣放棄論を大々的に書いて頂きたい。その方が世間にとっても理解し易いでせう。



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以下節録。平成28年6月20日ダイヤモンド誌電子版掲載。
http://toyokeizai.net/articles/-/123508
 日本の立場からすれば抗議をするべきではなかった。事件の本質は尖閣を巡る一種のゲームにおけるルール違反である。それであれば、中国が以降のルール違反を躊躇する対応、つまり「抗議」ではなく「仕返し」をするべきであった。
 ……(中略)……
 日本として看過できないのは「尖閣ゲーム」のルールに中国が違反した点である。
 尖閣問題では日中間に暗黙のルールがある。これは相互に無駄なエスカレーションを防止するといったものだ。「現地での対立には軍艦を使わずに巡視船を使う」や「政府は互いに国民感情を刺激することはしない」がそれにあたる。
 ……(中略)……
 中国が尖閣での暗黙のルールを破ったのであれば、日本は別の場所で中国に損をさせればよかった。それにより尖閣でのエスカレーションを防止しつつ、中国にルール違反を躊躇させることができる。
 仕返しの具体例としては、南沙人工島の12マイル以内の通過を挙げられる。中国が尖閣付近、目安としての接続水域に軍艦を一回入れるたび、日本も機械的に護衛艦を一隻通すといったものだ。こうすれば中国は尖閣付近での行動には慎重になる。事実上無価値の尖閣での実効支配積み上げを行うと、現実に支配が進んでいる南シナ海の領土主張で切り崩しを受ける。それを避けるために慎重になるだろう。


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