産經新聞「正論」。
日本的な「気配り外交」は国益を損ねる 袴田茂樹(新潟県立大教授)
 日本と諸外国の関係を見て、そして日本の対外発信のあり方を見て、歯がゆい思いをすることが少なくない。日本文化を前提にしたわれわれの行動や発言は、外国人には通じないことが多いからだ。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産問題、日中・日韓の歴史問題、北方領土問題、その他多くの問題でそれを痛感する。
…(中略)…
 最初に述べたユネスコの世界記憶遺産に「南京大虐殺の資料」が登録され、米国各州に、慰安婦像が建設されつつある。これらも、ユネスコ関係者や米国の世論に日本側の見解が正確に、いやほとんど伝わっていないからであり、これまで述べた日本側のアプローチや発信の仕方に問題があると私は考えている。そして「売られた喧嘩(けんか)は買わない」というお高くとまった姿勢が、結果的に最近の慰安婦問題での釈然としない謝罪外交に自らを追いやったのだ。
http://www.sankei.com/column/news/160118/clm1601180008-n1.html

 上の論説を讀んで、あなたは「ごもっとも」と思っただらうか。それは大間違ひだ。尖閣に論及が無いではないか。尖閣は「その他多くの問題」に分類されてゐるらしい。
 尖閣は軍事的に最重要であるのみならず、千年の中華思想と對決する最大の焦點だ。
それを第一に据ゑぬばかりか、置き去りにするとは何事か。「賣られた喧嘩は買はない」とはまさしく尖閣ではないのか。産經も袴田氏も、全く信用ならぬ。慰安婦にばかり大騷ぎする日本のマスコミは、あまりにも深く病んでゐる。


袴田茂樹